でこりんのラグビー雑記帳

15年ワールドカップでラグビーにはまってしまったにわかラグビーファンの雑記帳です。観戦記・選手紹介・ルール・プレー説明などラグビーの面白いところをファン目線でまとめています。

2019RWC予選 ルーマニア・スペイン・ベルギー、そしてサモアの混乱

2018GWは特に遠出もせず家に引きこもり。何か有意義なことをしようと思い、今私が最もスキャンダラスに感じている、RWC2019予選、特に欧州で起こっているいざこざについてまとめてみようと思います。ただ、進行中のこともたくさんあって、予選のルールも複雑で間違っているところが多々あると思いますが、大筋こんなような話だと思っています。それから、できるだけ情報源(reference)が明らかなものはそれも一緒にまとめます。(学生時代を思い出すな笑)

 

◆予選のルールを理解する

本題をしっかり理解するために、まずは予選の大筋のルール、どうしたら2019RWC出場できるのか、ということをまとめます。

Refer to: https://www.rugbyworldcup.com/qualifying/process

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ルール⑴ 各プールバンド1〜3

 2015RWCの1次リーグで3位以上のチーム

ルール⑵ プールA-4 ヨーロッパ地区予選(1枠)

 Rugby Europe Championshipの最上位チーム(除ジョージア@プールB–3)

ルール⑶ プールC−5・プールD–4 オセアニア地区予選(2枠)

 Pacific Nations Cupの上位2チーム

ルール⑷ プールA−5ヨーロッパ・オセアニアプレーオフ予選(1枠)

 ルール⑵の2位 VS ルール⑶の3位 

  勝ち:プールA-5が確定

  負け:プールB–5敗者復活予選に出場できる

ルール⑸ プールC−4・プールD−5 アメリカ地区予選(2枠)

 アメリカVSカナダ home&awayで試合

  勝ち:プールC–4が確定

  負け:南米トップチーム(除アルゼンチン@プールC−3)と勝負

   勝ち:プールD–5が確定

   負け:プールB–5敗者復活予選に出場できる

ルール⑹:プールB–4 アフリカ地区予選(1枠)

 Rugby Africa Championshipの優勝チーム。

 2位はプールB–5敗者復活予選に出場できる

ルール⑺:アジア・オセアニア地区のプレーオフ

 Asia Rugby Championshipの優勝チームがOseania Cupの優勝者と勝負

  勝ち:プールB–5敗者復活予選に出場できる

  負け:出場できない 

番外編:プールB–5敗者復活予選に出場する可能性のあるチーム

(□の中:ルールの番号)タイプするのがちょっと嫌になっちゃったから下調べノートから。

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ここまでが予選の概要。いろんなチームや大会の名前がでてきて、ここで力尽きそうになりましたが、本題はこれから。関わるのは、日本と同じプールAのルール⑵、⑶と⑷になります。これら3つがどうなっているのかをそれにまつわるいろいろと合わせて、1つずつ確認していきます。

 

◆ルール⑵ プールA-4 ヨーロッパ地区予選(1枠)

このルールをおさらいすると、⑵番目のルールとしてプールA-4の枠を獲得できるのは、Rugby Europe Championshipの最上位チーム、つまり、ルール⑴ですでに出場権を獲得しているジョージアの次に強いチームとなります。

まず、Rugby Europe Championshipは国際試合の大会で、この大会は欧州の2部リーグというイメージ。伝統国ひしめくSix Nations(イングランドアイルランドスコットランドウェールズ・フランス・イタリアの定期戦。いずれももルール⑴で出場権獲得済み)以外の、いわゆるティア2・3のラグビーがあまり流行っていないヨーロッパのチームが出ている大会です。具体的な出場チームは下記、今年の結果もあわせてどうぞ。

Refer to: 2018 Rugby Europe International Championships | Rugby Europ

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 この結果から、ルール⑵のすでに出場確定のジョージア(GEO) の1位を除く最上位=2位のルーマニア(ROU)が見事、2019RWC出場を決めました、おめでとう!&ルール⑶からスペイン*がプールB–5敗者復活予選で最後の望みをかける、がんばって!という結論なのですが、ここにはそれだけじゃ済まされないドラマがあります。これが本題。

 *実際にはスペインで確定ではないようです。詳しくは下記「図」を見て!

https://www.rugbyworldcup.com/qualifying/europe/bracket

 

◆2018. 3.18 REC最終戦 ESP(スペイン)vs BEL(ベルギー)で何が起こったのか?

 時は2018年3月18日、Rugby Europe Championshipの最終戦:スペインvsベルギーが行われました。このとき、2019RWC出場の当落戦上にいる2チームは、

 ルーマニア:5戦3勝2敗・・・全試合終了。スペインが負ければ RWC出場

 スペイン:4戦3勝1敗・・・最終戦残す。ベルギーに勝てば RWC出場

 であり、スペインは勝てば出場決定。ルーマニアはたとえスペインが負けてもポイント・得失点差によっては、スペインが上位に立ちかねない、かなりピンチな状況。

 で、この試合結局どうなったかというと、ベルギーの勝ち。公式のゲームシートを見ると、前半はスペイン0-12ベルギー(すべてペナルティーゴール)後半頭にスペインにシンビン(重い反則10分退場)、スペインがスコアできたのは試合終了直前70分にトライ、73分にペナルティーゴールのたった10点。映像を見てみると開始7分で乱闘しちゃうようなすごく荒れた試合でした。ちなみに、フルの試合はスペインの国旗マークの上の再生マーククリックで見られます。2時間あります。

f:id:mayutan12164:20180506161555p:plainf:id:mayutan12164:20180506161517p:plainRefer to: 2018 Rugby Europe International Championships | Rugby Europ

2時間フルで見れないあなたにハイライト映像です↓黄色がスペイン🇪🇸 赤がベルギー🇧🇪

www.youtube.com

そして何より荒れたのが試合終了直後。試合内容に納得のいかないスペインの選手がレフリーの周りに集まって言い争いをしているのがわかります。その様子だけを切り取った映像がこれ。相当頭にきているのか、レフリーがフィールドを去るまでずっと追いかけたり、小突いたりとすごい勢いです。結果、この行為が重く受け止められ、スペインの5選手に合計121週間の試合出場停止がワールドラグビーから発表されました。Refer to: Spanish rugby players banned for a total 121 weeks after hounding referee out of stadium in match that stunned rugby world - Wales Online

言い争いの部分だけ切り取った映像

↓黄色がスペイン🇪🇸 赤がベルギー🇧🇪

www.youtube.com

納得できない理由はいくつかあると思いますが、おそらくその最たるものが、レフリーがルーマニアだったから、と言われています。なぜなら、ルーマニア人レフリーはベルギーが有利になるよう審判を行うことで、ベルギーの勝利=ルーマニアの2019RWC出場が確定する、なんていうゲスな想像が簡単にできちゃうからです。

この事態を受け、スペイン協会はワールドラグビーに対して申し立てを行い、先日ワールドラグビーから再試合をすべき(ルーマニアの2019RWC出場がかかった試合に、ルーマニア人レフリーが審判をすべきではなかった。たとえ実際のレフリングが公正であっても、そうでないと考えられる要素があるなら、それは取り除くべきという理屈)という声明が発表されました。

まぁ後味の悪い流れになってしまったけど、ヨーロッパのいざこざはこれで解決!と思ったそこのあなた!これだけじゃ終わらないのです。この問題のせいで割りを食うかもしれないチームが出てきました。それが、サモアです。

 

◆どうしてサモアがピンチに?ルール⑶と⑷をおさらい

ルール⑶ プールC−5・プールD–4 オセアニア地区予選(2枠)

このルールは、2016-17の2年間のPacific Nations Cupの上位2チームが2019RWCに出場できる というものです。参加チームはフィジー・トンガ・サモアの3カ国。どこもティア2では強豪国だし、いわゆるアイランダー(islander)ってラグビーうまいんだよね…日本代表のマフィもislanderだし3カ国中2カ国出場できるいい環境も納得。さて、結果をまとめると、前回Pacific Nations Cupは下記の結果に終わりました。

refer to: 2017 World Rugby Pacific Nations Cup - Wikipediaf:id:mayutan12164:20180506210557p:plain

これにより、 プールC−5はフィジー、プールD–4はトンガに確定。3位に終わったサモア(前回大会出場。日本と同じプールでした)は次におさらいするルール⑷でまた登場します。早速ルール⑷は…

ルール⑷ プールA−5ヨーロッパ・オセアニアプレーオフ予選(1枠)

 ルール⑵の2位 VS ルール⑶の3位

  →Rugby Europe Championshipの2位 vs Pacific Nations Cupの3位

   →スペイン vs サモア

    勝ち:プールA-5が確定

    負け:プールB–5敗者復活予選に出場できる

出てきました、渦中のスペイン様です!嫌な予感と思ったあなた、正解です。再試合をするべきという声明が出たものの、それが本当に開催されるのか、そうだとしたらいつなのかについては現状不透明であり、また出場停止中の5選手が戻ってくるのを待っていると2018年6月を過ぎてしまう恐れが出てきました。ここ、これが、サモアにとってはこれは大変に不利になってしまう要因です。それはなぜかというと…

過去の記事でも紹介した通り(ウィンドウマンスってなに?)毎年6月と11月はウィンドウマンスというテストマッチ(国と国との真剣勝負)が行われる期間となります。ウィンドウマンス中はテストマッチを優先するため、世界中のクラブラグビーがお休みになります。

そして、サモアで活躍している選手はサモア国内だけでなく世界中にいるため、ウィンドウマンス中でない期間にスペインvsサモアが行われることになってしまうと、所属クラブの事情によっては、世界のスター選手がサモア代表として試合に出られなくなる可能性が出てくるのです。それはサモア代表にとっては本来の実力を発揮できないだけでなく、ヨーロッパのいざこざのせいで、全く関係のないサモアが割りを食うかもしれないという、なんともアンフェアな状況になってしまうのです。下記記事のなかでも紹介されていますが、このサモアにとって意味不明な状況に、声をあげている選手もいます。refer to: European mess delivers Rugby World Cup setback to Samoa | Stuff.co.nz

 

これが、この記事の「ルーマニア・スペイン・ベルギー、そしてサモアの混乱」というタイトルに繋がるわけです…ここまで長い道のりだったぜ!!!!!てかマジでサモア関係なくない?!サモアには初年度サンウルブズを支えてくれたトゥシ・ピシ選手という神様がいるから、(勝手に)恩があると思ってるから、ほんとにサモアに不利になって欲しくない!

  

 ◆新たな問題が発生!代表資格、ちゃんとチェックしてる!?

これはまだ速報レベルでワールドラグビーの正式発表は2018年5月10日ですが、 Rugby Europe Championshipに出場したルーマニア・スペイン・ベルギーの選手の中に代表資格のない選手がいたため、失格となるかもしれない、ということがジョージアのウェブにアップされたそうです。そうなるとルーマニアがロシアに置き換わるのでは?サモアの対戦相手も変わるかも?みたいな噂…おいおいどうなっちゃうわけ!?

 refer to: რუსეთი მსოფლიო თასზე, რუმინეთი და ესპანეთი მის მიღმა? - Rugby XV

↑出典がまさかのジョージア語!私は英語の要旨をツイッターで見ただけなのでまことしやかです…こういうことがなければジョージア語なんて見なかった笑

 

◆最後に…「風が吹けば桶屋が儲かる」的なことってあるのね

今回まとめたサモアが割りを食うかもしれない問題をまとめていると、本当に風が吹けば桶屋が儲かるみたいなことってあるんだなと思いました。学生時代は商学部的なことを勉強していたし、いわゆる国際問題って全然興味なかったんだけど、たぶんこんなようなことってどんな業界でも起こっているんだろうなぁと思いました。あと、ここまでまとめきることができて、達成感半端ないです!!!

 

蛇足:やっぱりお蔵入りするのが悔しかった下調べノート ちょこちょこ間違ってる

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